先日、
2月の初めに家出をした、父ちゃんから電話がかかってきた。
家出といっても、本当に失踪するように居なくなった訳ではなく、
普通に実家を出て行ったのです。
兄貴の話によると、去年の年末
お母んと三人で、家の何やらで家族会議を開いている時に、
「俺、2月からこの家にいねーし」
と、爆弾発言をして発覚。(笑)
要するに、引退したから田舎(過疎地)暮らしをする。
とのこと。
そもそも、父ちゃんと兄貴はあまり合うわけではないので、自然な流れと言えば自然。そこで、兄貴ではなくて父ちゃんが出て行く所がわが家の不思議なのです。
そんな訳で、火山のある島に移り住んだ親父さん。すでにとっくに自分の好きな所で暮らしているお母んを含め、わが家はめでたくバラバラになった訳です。もともと、家族という枠組みが希薄だったわが家。全員がバラバラになってみて、初めて前よりもその繋がりを感じるような気がしてるのは僕だけなのだろうか。
末っ子の特権なのか、全員と一番仲がいいのは自分。でも考えてみれば、真っ先にあの家を出て行ったのは自分だったことに気が付いた。
「今日ようやくガスが来てよ、今風呂入れてんだ」
「今まで、村の温泉に通ってたんだよ」
なんだか、村って響きが新鮮でいい感じ。(笑)
「レンタカーがひどくってよー。あ、結局車がないと生活出来ないから、車は買うことにしたよ。知り合いの車屋に頼んでよ」
「おめー、幾らアクセル踏んでも、坂道上んなくなっちゃうんだから」
「で、さ。ライト消したら進むんだよー。」
「困っちゃうよ、暗いのにさ」
昔からそうだけれど、父ちゃんは自分や兄貴に話す時も、友達に話すみたいな口調で喋る。良くいえばフレンドリー。悪くいえば父親らしくないのか。
「景色だきゃーいいな」
「何とか岳ってのに上ると、地球が丸いのが見えるんだよ」
電気屋の兄ちゃんと仲良くなっただとか、
家の修理が大変だとか、
携帯は街に降りないと繋がらないとか、
引っ越してからの島での出来事を、
15分間、息もつかずに次々と報告してくれた。
考えてみりゃ、3分以上、親父と電話で話すなんて初めてだ。
電話の向こうで話す父ちゃんは、
何だか探検から帰ってきた子供のような感じでおかしかった。
そう言えば、まだ退職祝いをあげてない。
作品が売れたら、万年筆を買おう。